管理組合のためのマンション管理コンサルタント

騒音に悩まされたときの対処法

音に対する感じ方は千差万別

ピアノや他の楽器演奏の音、音響機器の出す音、カラオケの音、さらには子どもが部屋のなかを駆け回る音、椅子を引きずる音など、騒音によって迷惑するケースは少なくありません。

マンションは1枚の壁や床、天井を隔てて多くの家族が集まって住んでいます。そして、それぞれの家族で生活のリズムや習慣が違います。深夜に起きて勉強している学生がいたり、昼間に夜勤から帰ってきて寝ている人もいるかもしれません。

音に対する感じ方や騒音への耐性も、人それぞれです。ピアノの音を心地よく感じる人もいれば、ただイライラするだけの人もいます。

騒音の問題は、簡単には解決できません。ピアノを弾くことは、子どもの情操教育に関わってきますし、うるさく感じる人がいるからといって、弾くことを一切、禁止してしまうのは難しいでしょう。

そこでまず、迷惑している住人と、ピアノを弾いている家族の住人とが話し合いをして、時間帯を区切るなどの取り決めをします。簡単な防音装置を施すことも考えるべきです。その場合に、ほかの近隣に住む人たちからも、音に関する意見を聞いてみるのもいいでしょう。騒音被害を訴えるときに相手を説得しやすくなるはずです。

子どもの足音の場合は、時間で区切るような性格のものではないので、本当に我慢できないと感じたら、相手の家に行き、「カーペットを敷いてください」などのお願いをするのがいいでしょう。同じように椅子を引きずる音にしても、絨毯、カーペットを敷くなどの方法によって、大きく改善される場合があります。

騒音被害を客観的な基準で判断する方法

基本的に騒音に関しては、個人対個人の問題であることが多く、あまり管理組合で取り上げる性格のものではありません。

ただし、ピアノを置く場合には最低限度の防音、遮音設備を義務づけることや、演奏を認める時間などを管理規約、使用細則で定めておくのもいいでしょう。その際に、日本建築学会が作成している「建築物の遮音性能基準と設計打診」を参考にするといいでしょう。音の大きさを客観的に表す基準としては、JIS規格による「JIS-A-1419建築物のしゃ音等級」があります。

さらに前述したように、床をフローリングに改装工事したことで、階下の住戸への騒音が大きくなる場合があります。こちらについても、同じく日本建築学会が目安となる基準を発表しています。

もし、原因となる音を立てている住戸の住人が話し合いにまったく応じなかったり、約束しても守らないなどの状態が続くようであれば、法的手段に訴えることになります。

まず裁判所による調停から始めて、それでも解決しなければ、訴訟による差し止め請求、損害賠償請求を起こすことになります。

事実、集合住宅のフローリングについては、階下への騒音問題から、しばしば訴訟が起こっています。その中で、少々異質のケースを紹介します。

上階に住む被告がフローリング工事を行ったことで、騒音に悩まされていると訴えた原告に対して、被告は騒音は受忍限度内であり、むしろ原告の度を越した抗議行動によって平穏な生活を害されたと反訴しました。

音の大きさを実証実験したところ、日本建築学会基準では、遮音性が「非常に優れている」と判断されました。さらに原告の抗議方法が、1時間以上に渡って自室の天井を叩きつづけたり、被告のドアを叩くなど、暴力行動に等しい行為だったと認められ、被告の全面勝訴となりました(東京地裁 平成10年1月23日判決)

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