管理組合のためのマンション管理コンサルタント

大規模修繕に向けた長期修繕計画を作成する

なぜ大規模修繕が必要か

鉄筋やコンクリートでつくられたマンションも、年を追うごとに劣化していくのは防ぐことができません。そこで外壁、給水および排水設備、塗装部分、それにコンクリートのクラックを修繕する必要が出てきます。もし放置するなら、屋上から雨水が漏れてきたり、内部の鉄骨がさびて膨張し、コンクリートが剥離するなど、きわめて危険で劣悪な住環境になってきます。マンションの資産価値も大幅に下落していきます。

そこで大規模修繕が必要になります。そのために管理組合では、修繕に必要なお金を各区分所有者から積立金として徴収しています。

耐用年数は各部位でおおよその目安があるので、それに沿って計画を立てます。たとえば、屋上の防水ならば10~12年で、外壁は9~15年です。

ただし、一律に決まっているものではありません。各種の条件により個体差が出てきます。

まず、建物自体が最初にしっかりと造られているかどうかで大きく違ってきます。

次に、立地条件による差異もあります。たとえば、風雨にさられさる丘の上であったり、鉄道や高速道路の近くで振動の影響を受けたり、さらに海辺に立っているならば塩害によって劣化が早まります。それに加えて、日常的に小規模な修繕を行なうことで、劣化を遅くすることができます。そこで定期的に劣化診断を行なう必要があります。その結果をもとにして、実施時期を決めます。

専門委員会をつくる

このように修繕の時期を図るには、長期的視野に立った検討が必要です。されに実施となると、工事内容によっては長期にわたることになります。そのために、毎年交代する役員が検討していのでは、連続性に欠け、スムーズに行なうのが難しいでしょう。

そこで専門的知識を持った人を中心に、長期的視野に立って計画の立案をする専門委員会を組織することが必要になります。

まずは区分所有者のなかから、専門的知識を持った人を探して、参加を要請するといいでしょう。建築関連だけでなく、金融や法律などに詳しい人も必要です。また専門家でなくても、大規模修繕や自分の住むマンションの管理に強い関心を持つ人にも、積極的に入ってもらうことが必要です。

この専門委員会は、理事会とは違って、できるだけメンバーを固定することが望ましいと思われます。

実際に組織する際には、管理規約によっては総会において決議する必要があります。その際には、使用細則などで、理事会の諮問機関であることを位置づけておくといいでしょう。

定期的に話し合い、劣化診断の結果や長期修繕計画と照らし合わせ、どのように修繕計画を実施していくかを判断し、理事会に具申します。

工事が実施されると、生活の場が現場となるだけに、住人への影響が出るのは避けられません。工事用の道具、機器による騒音や、現場に足場を組んでネットで覆ったりすることで、日当たりや風通しが悪くなります。

工事会社と連絡を密にして、どのくらいの期間がかかるのか、どの住戸にどんな影響がでるのかを情報収集して、各住戸に伝えていくことが必要です。また工事による深刻な影響が出た際の、窓口を決めておく必要があるでしょう。

長期修繕計画に盛り込む内容

長期修繕計画とは、マンションの大規模修繕を20~30年、またはそれ以上のスパンで考え、どの時期にどの部位の修繕を行なっていけばいいのかを立案し、さられに必要な費用を算定していくことです。建物をメンテナンスしていくことで、マンションを一定の水準に保ち、長持ちさせることを目的とします。

この長期修繕計画で定める内容は次の内容です。

(1) 計画期間
多くの場合は20~30年で設定されています。最も修繕周期の長い項目を基準として考えるといいでしょう。

(2) 工事項目および修繕の仕様、工法

(3) 修繕の周期
各工事項目について定めます。

(4) 工事費の概算

(5) 修繕積立金の金額

それぞれの期間に必要な修繕費、および毎月徴収する修繕積立金の金額です。

この長期修繕計画は、最初に作成したままにするのではなく、数年ごとの見直しが必要となります。

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