管理組合のためのマンション管理コンサルタント

掲示板・屋上などの使用ルールと有効活用のしかた

掲示板の無断使用は禁止する

マンションの管理組合の掲示板に無断で貼られた「家庭教師します」「フラワー・アレンジメント教えます」などの告知は、勝手にはがしていいものでしょうか?また、その掲示物を貼ったのが区分所有者である場合と外部の者である場合は、扱いに違いがあるのでしょうか?

まず、掲示板は共用部分です。いずれの場合でも、無断で貼り紙をするのは、区分所有法の定める「区部所有者の共同の利益に反する行為」となる可能性があります。そこで、簡単にはがれるものであれば、管理組合が撤去することができます。その上で、はがした掲示物を保管しておけばいいでしょう。

さらに、そうした広告物ならば連絡先が記されているはずなので、二度と貼ることのないように警告をした上で、期限を指定して引き取りに来るように伝えます。それでも引き取りに来なければ、処分することになります。

次に、糊づけするなどして、無理にはがすと破損する恐れのある場合は、警告書とともに、期限を決めて自らの責任ではがすように勧告します。もし期限内に撤去しない場合は、やはり理事長の権限で撤去できます。

その際に、掲示板が破損するなどの被害が出た場合は、損害賠償請求をすることができます。それでも効果がなく、さらに同じ行為を繰り返すようなら、掲示告訴も辞さないといった毅然とした態度をとるべきです。

屋上広告塔の長期無償使用は認めない

大手マンションデベロッパーの分譲したマンションには、よく屋上に社名やマークの入った広告塔が設置されています。しかし、分譲マンションであれば、屋上の所有者は区分所有者のはずです。管理組合の使用許可をとって設置しているのでしょうか?それに広告費を支払っているのでしょうか?

大阪府のマンションで、設置しているのに広告費を払わずにいたことで、訴訟になったことがありました。

屋上の給水塔の上にデベロッパーが自社の広告塔を設置することについて、契約書、パンフレット、重要事項説明書にて説明されていました。しかも管理規約のなかにも、広告塔の無償利用を認めることが記載されており、すべての区分所有者が認めて判を押しています。いわゆる原始規約で、デベロッパーが自社に有利に作成したものです。

その後、区分所有者の間で、無償利用状態が問題視されるようになりましたが、管理規約は有効です。そこで管理組合は、分譲から10年後の総会において、使用貸借契約の解除と管理規約の変更を議決しました。その上で、デベロッパーに対して、広告塔の撤去と、広告費の支払いを求める訴訟を起こしています。

それに対してデベロッパーは、使用貸借契約の継続を主張して、真っ向から対立しましたが、判決では管理組合の主張が認められ、「広告塔の使用収益をするのに十分と考えられる期間は10年」と示され、10年を経過した時点からの広告費の支払いを命じました。

屋上広告塔の有効活用を考える

あるマンションの理事会で、屋上に広告塔を設置して、広告費の収益を修繕積立金に当ててはどうかという提案が出されました。 屋上広告を設置するには、まず広告主が現れ、広告料金やその他の契約条件が折り合わなければなりませんが、ここでは、屋上への広告塔設置が制度として可能かどうかを検証してみましょう。

屋上は、一部の例外を除いて、法定共用部分に属し、広告塔を設置することは、共用部分の変更に当たります。したがって、総会における議決を必要とします。

地域や住民との事前調整も必要
次に近隣への影響を考える必要があります。特に広告塔をネオンサインにするならば、地域との調整が必要になってきます。市区町村によっては、条例によって規制がありますので、調査しておくことです。

また、総会での議決をする前に、次の点を確認しておく必要があります。

  1. 設置費用をどこが負担するのか
  2. 撤去する場合はどこが費用を負担するか
  3. 電気料金の負担はどうするか
  4. 事故が起こった際の責任はどこがとるのか

こうした確認を起こった後、広告塔の設計図面などの構造面、重量面、さらに建築基準法などの法規上の問題がないかなどをチェックする必要があります。

さらに広告主の業種についても、区分所有者のなかには気にする人もいるでしょうから、きちんと合意形成しておくことです。また、最上階の住戸の区分所有者からは、事前に個別に了解を得るのがいいでしょう。

ちなみに第三者から広告料金を得るのは収益事業になるので、税務署に申告が必要になります。

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